行政書士・FP(ファイナンシャルプランナー)の相澤和久です。
「大切な家族が亡くなり、何から手をつければいいのか分からない……」
「不動産会社に言われるがまま実家を売却して、後からトラブルになったらどうしよう」
身近な方が亡くなった後、このような不安や戸惑いを抱えていませんか? 私の事務所がある横浜市中区周辺にお住まいの方からも、相続手続きや不動産のセカンドオピニオンに関するご相談をよくいただきます。
相続が発生したときに、多くの方が真っ先に気になるのが「うちって相続税を支払う必要があるの?」という疑問ではないでしょうか。
相続税の申告期限は「亡くなった日から10ヶ月以内」と法律で決まっているため、手際よく遺産の内容を把握しなければなりません。そこで、ぜひ作成していただきたいものが「財産目録(ざいさんもくろく)」です。
実は、財産目録は「税金がかかる人だけが作るもの」ではありません。税金がかからないご家庭にこそ、残された家族の絆を守り、円満な相続を迎えるための強力な味方になってくれます。今回は、難しい法律用語を使わず、財産目録が必要な理由や具体的な作成手順を分かりやすく解説します。

なぜ財産目録が必要なのか?「小さなモヤモヤ」が関係を壊す前に
ここで少し、日常の例え話をさせてください。
サラリーマンをされている方なら、大人数での飲み会の会計時、こんな経験はありませんか?
誰かが「ここは俺がまとめて払っておくよ!」と買って出て、みんなが自分の負担分をその人に手渡す。一見スマートですが、後からその人がカードやPayPayで支払ってちゃっかり大量のポイントをもらっているのを見たとき、「あ、自分でポイントが欲しかったから手を挙げたんだな……」と、ほんの少しモヤッとした気持ちになったりしませんか?
悪気はないと分かっていても、なんとなく「ずるいな」と感じてしまう、あの小さな違和感です。
実は、相続の現場でもこれと全く同じような「小さなモヤモヤ」が頻繁に起こります。
- 「生前、お父さんの介護用品や通院費を私が立て替えて払っていたけれど、いちいち領収書なんて保管していない……」
- 「お葬式のときに、私が細かい雑費をたくさん出したけれど、みんなに今さら請求しづらいな……」
このように、故人のために自分のお金を使ってお世話をしてきたのに、証明する書類がないために遺産分割の話し合い(遺産分割協議)で言い出せず、心にもやもやを抱えたまま遺産を分けてしまうケースがとても多いのです。
この「小さなモヤモヤ」が積み重なると、どんなに仲の良かった家族であっても、不信感へと変わり、話し合いが難航してしまいます。だからこそ、すべての財産をガラス張りにした「財産目録」を作り、中立な第三者を交えることで、全員が納得してスムーズに手続きを進めることができるようになります。
- プラスの財産: 預貯金、不動産(土地・建物)、株式、生命保険金、自動車など
- マイナスの財産: 住宅ローン、借入金、未払いの税金・医療費、葬儀費用など
これらを1つの表にまとめることで、家族全員が「何がどこにいくらあるのか」をひと目で理解できるようになります。
【ここがポイント】 遺言書で遺言執行者が指定されていない限り、財産目録の作成は法律上の義務ではありません。例えば、相続人があなたお一人だけであれば、作らなくてもペナルティはありません。 しかし、家族が複数人いる場合は、話し合い(遺産分割協議)をスムーズに進め、後々の「言った・言わない」のトラブルを防ぐための強力な武器になります。
財産目録の作成手順と4つの分類
ここからは、具体的な作成方法をみていきましょう。 のちほど修正や追加がしやすいように、パソコンを使ってエクセルやスプレッドシートなどで作成するのがおすすめです。
財産は、以下の【4つのステップ】に分類して整理していくとスムーズです。
それでは、各ステップで「何を」「どうやって」調べるべきか、詳しく解説します。
ステップ1:金融資産の確認方法とリスト化
金融資産は、大きく分けて次の4つに分類して整理します。
① 現金
亡くなった方のお財布に入っていたお金や、自宅に保管されていたいわゆる「タンス預金」です。 また、亡くなる直前に、入院費やお葬式代の支払いのために口座から引き出したお金があれば、それも「現金」としてカウントしておきます。
② 預貯金
通帳やキャッシュカードがあれば確認できますが、最近は紙の通帳を発行しない「ネットバンキング」も増えています。自宅に届いている郵送物やクレジットカードの明細から、取引のあった銀行がないか探しましょう。
心当たりのある銀行があれば、戸籍謄本など「相続人であることが分かる書類」を持って窓口に行けば、口座の有無や残高を教えてもらえます。
【よくある誤解を解消!】 「家族が亡くなったら、すぐに通帳の記帳ができなくなる」と思い込んでいる方がいますが、そんなことはありません。銀行が亡くなった事実を把握する(家族が連絡する)までは、口座は凍結されませんので、現在の残高を確認するために記帳することは可能です。
| 金融機関名 | 支店名 | 口座種別 | 口座番号 | 亡くなった日の残高 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 〇〇銀行 | 横浜支店 | 普通 | 1234567 | 2,500,000円 | 主な生活費口座 |
| △△信用金庫 | 本牧支店 | 定期 | 9876543 | 5,000,000円 | 証書あり |
③ 有価証券(株式・投資信託)
最近はNISAの普及もあり、証券会社や銀行で口座開設している方がとても増えています。まずは自宅に届く「取引報告書」などの郵送物を探して、取引先の金融機関を特定しましょう。
どうしても分からない場合は、「証券保管振替機構(ほふり)」という機関に開示請求をすることで、故人がどこの金融機関に口座を持っていたかを一括で調べることができます。
現段階では全体像の把握が目的のため、気づいた日時点の株価終値や投資信託の価格をベースに、金融機関ごとの残高を入れておけばOKです。
④ 保険
生命保険や医療保険のチェックです。特に生命保険は「誰が受取人か」によって税金の計算が大きく変わるため、以下のように整理します。
| 保険会社名 | 証券番号 | 保険の種類 | 被保険者 | 受取人 | 保険金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 〇〇生命 | A123456 | 生命保険 | 故人 | 妻(〇〇) | 10,000,000円 |
手元に保険証券が見当たらない場合は、「生命保険契約照会制度」を利用すると、国内の生命保険会社に一括で加入状況を問い合わせることができます。
ステップ2:不動産の調査と記載方法
横浜市中区周辺は歴史ある街並みもあり、古くからの土地やマンションを大切に所有されている方も多いです。不動産の調査は、まず毎年春ごろに自宅に届く「固定資産税・都市計画税納税通知書」や、金庫にある「権利証(登記識別情報通知)」を探すことから始めます。
ここに注意!自宅だけだと思っていませんか? 「うちは自宅の家と土地だけだから簡単」と思っていませんか? 実は、一戸建ての場合、目の前の道路(私道)の一部を共有持分として持っていたりします。これらを見落とすと、後から登記の追加申請が必要になり、余計な費用がかかってしまいます。
もし納税通知書が見当たらない場合は、横浜市であれば不動産がある区の区役所(中区役所など)で「名寄帳(なよせちょう)」という、故人がその市区町村に持っている不動産の一覧表を取得しましょう。
これらを基に、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得し、以下のようにまとめます。
| 分類 | 所在地・地番 | 地目・構造 | 面積・床面積 | 固定資産税評価額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 土地 | 横浜市中区〇〇 | 宅地 | 150㎡ | 20,000,000円 | 自宅敷地 |
| 建物 | 横浜市中区〇〇 | 木造2階建 | 100㎡ | 5,000,000円 | 自宅 |
※評価額の項目には、まずは手元にある納税通知書に書かれている「評価額」をそのまま記入すればOKです。手元にある資料から読み取れる範囲でどんどん進めていきましょう。
ステップ3・4:動産、負債や借入金の確認
動産(車・家財など)
車やバイクは、中古車買取店などで無料査定をしてもらい、その金額を記載します。 家具や家電、洋服などは、よほど高価な骨董品や宝石がない限り、まとめて「生活家財一式:10万円〜50万円」と概算で記載して問題ありません。
負債(住宅ローンなど)
住宅ローンが残っている場合、もし「団体信用生命保険(団信)」に加入していれば、亡くなったと同時にローンの残高は0円になります。団信に加入しているかどうか不明な場合は、ローンの返済を行っていた金融機関にすぐに確認しましょう。
財産目録を作成する際の注意点
私が過去にお手伝いしたケースで、このようなことがありました。
亡くなった方は真面目な会社員で、ご家族も「財産は自宅マンションと通帳の数百万円だけだから、相続税はかからない」と思い込んでいました。 しかし、後から勤務先の給与明細や書類を精査したところ、会社独自の「社内積立金」や「持株会」に数百万円の蓄えがあることが判明したのです。
このように、「通帳に載ってこない隠れた財産」を見落とすと、気づかないうちに相続税の申告期限を過ぎてしまい、ペナルティ(追徴課税)を科される危険があります。
また、家族間で財産を分ける際、特定の人だけで作成した目録は「本当にこれが全部なの?」「隠している財産があるんじゃないの?」と、疑心暗鬼を生むきっかけになります。残高が0円の口座であっても、あえて目録に「残高0円」と記載しておくことで、「すべて調べ尽くした」という証明になり、家族の安心感に繋がります。
専門家(行政書士)に財産調査を依頼するメリット
ご自身でこれらすべての書類を集め、正確な目録を作るのは精神的にも体力的にも大きな負担です。行政書士のような専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- すべての財産・負債を漏れなく網羅できる 独自のノウハウと職権(専門家としての権限)を用いて、一般の方では気づきにくい隠れた財産や負債まで徹底的に調査します。
- 家族間のトラブルを防ぐ「公平・公正な資料」になる 特定の誰かの味方ではなく、中立な第三者である専門家が作成した目録だからこそ、家族全員が納得してスムーズな話し合いを進めることができます。
財産目録に関するよくあるQ&A
家族の笑顔を守るために、まずは一度ご相談ください
相続の手続きには、悲しみに暮れている間にもいくつもの「タイムリミット」が迫ってきます。特に「相続放棄の3ヶ月」や「相続税申告の10ヶ月」は、日々の生活に追われていると、本当にあっという間にやってきます。
期限を過ぎてから「知らなかった」「間に合わなかった」と後悔しても、税務署や裁判所は待ってくれません。また、不透明な調査のせいで家族の間に「小さなモヤモヤ」が生まれてしまうと、その後の関係を修復するのには長い時間がかかってしまいます。
「不動産会社に相談したら、売却を急かされて不安になった」
「まずは中立な立場で、我が家の財産状況を一緒に整理してほしい」
そんなときは、横浜市中区の地域密着の行政書士・FPである当事務所にお気軽にご相談ください。特定の誰かの味方ではなく、中立な専門家の立場から、あなたのご家族の絆を守るための最適なサポート(セカンドオピニオン)をいたします。
初回のご相談は無料です。タイムリミットを迎えてしまう前に、まずはお気軽にお問い合わせください。

