行政書士・FPの相澤和久です。
今回は、お父さまが遺した財産のほとんどが「賃貸中の不動産」だった、お子さま二人の事例をご紹介します。不動産は預貯金と違って、きれいに分けることができません。相続人の暮らしの事情が違うと、なおさら分け方に悩みます。
※ご相談者が特定されないよう、内容の一部を変えています。
最初のご相談:「マンションばかりで、どう分ければいいのか」
お父さまは、各地に賃貸マンションを所有していました。遺言はありませんでした。
最初のご相談は「財産のほとんどがマンションなので、どう分ければいいかわからない」というものでした。
不動産に詳しかったお父さまと違い、お二人は賃貸経営の経験がありません。入居者がいるマンションを引き継いでも、管理や修繕を自分たちでできるだろうか。そうした不安も感じておられました。
何が問題だったのか
お話を伺うと、お二人のご希望は同じではありませんでした。
- お一人は、お子さまがまだ小さく、早くまとまった現金を受け取りたい
- もうお一人は、ご自身の事情から、毎月の家賃収入のように続く収入を残したい
どちらも、それぞれの暮らしを考えれば自然なご希望です。ただ、同じ財産を「すぐ現金にする」ことと「持ち続ける」ことは両立しません。
どんな選択肢があったか
一つずつ並べてみました。
公平に見えますが、売るにも貸し方を変えるにも二人の同意が必要です。将来、ご家族の事情が変われば話し合いが難しくなるおそれがあります。
わかりやすい方法ですが、続く収入を残したいというご希望には沿えません。
それぞれのご希望を一部ずつ形にできる方法です。
当初は1の「共有」も検討しましたが、お二人で話し合った結果、3を選ばれました。
どう整理したか
- アパート1棟は、続く収入を希望された方が相続する
- マンション6部屋はすべて売却する
- 売却代金と預貯金は、アパートの評価額の分だけ、もうお一人に多く分ける
マンションの売却は不動産会社に、相続登記は司法書士におつなぎしました。
当事務所が担当したこと
- 戸籍の収集と相続人の確認
- 法定相続情報一覧図の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金の解約手続き
- 売却代金・預貯金の分配
結果
ご相談から約6か月で、すべての手続きが完了しました。
振り返って思うこと:遺言があれば、選べた道があった
正直に申し上げると、私には心残りもありました。
複数の不動産を短い期間にまとめて売ると、どうしても売値は下がりがちです。できれば一度相続していただき、時間をかけて一つずつ売却する方法も選べればよかったと思っています。
また、お父さまが賃貸不動産をいくつも持っていたのは、もしかしたら、お子さまの将来の暮らしを考えてのことだったのかもしれません。けれども遺言がない以上、そのお気持ちを確かめる方法はありませんでした。
遺言があれば、たとえば次のようなことを残せます。
- どの不動産を誰に引き継いでほしいか
- 売るなら、急がず時間をかけてほしいこと
- なぜその分け方にしたのか(「付言事項」として気持ちを伝えられます)
この事例から伝えたいこと
相続人の方へ
不動産が多い相続では、「全部売る」「全部共有する」のどちらかに決めなくても大丈夫です。お一人お一人のご事情を並べて、組み合わせを考えることができます。何が問題で、どんな選択肢があるかを、一つずつ一緒に整理しましょう。
不動産をお持ちの方へ
こんなご相談でも大丈夫です
- 相続した財産のほとんどが不動産で、分け方に悩んでいる
- 賃貸中のマンションを相続したが、持ち続けるか売るか決められない
- 相続人どうしで、希望が少しずつ違う
- 不動産をいくつも持っていて、家族のために遺言を作っておきたい
初回相談は無料(60分程度)です。出張相談やオンラインでのご相談にも対応しています。
費用は、ご相談の内容や、金融機関・不動産の件数などによって変わります。お話を伺ったうえで事前にお見積りをお出しし、ご納得いただいてから正式にご依頼いただく流れです。
お電話:045-211-5147(私が直接お受けします)

