知人や親族からマンションを直接買うのはアリ?仲介手数料を浮かせるメリットと見落としがちな落とし穴

こんにちは。行政書士・FP(ファイナンシャルプランナー)の相澤和久です。

「親しい知人からマンションを譲ってもらうことになった」「親族間でマンションを売買したい」 こうしたお話を最近よく耳にします。

不動産会社を通さなければ、何百万円もの「仲介手数料」を節約できるため、とても魅力的に感じられますよね。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。 実は、不動産会社を入れない「当事者同士の直接取引」には、後から「こんなはずじゃなかった…」と後悔するリスクがいくつも潜んでいるのです。

お金のやり取りがある以上、いくら仲が良い相手であっても、口約束や不十分な書類での取引は、将来の大きなトラブル(最悪の場合は人間関係の破綻や親族間の絶縁)に発展しかねません。

この記事では、知人や親族から直接マンションを購入する際に必ず確認すべき注意点と、安全に手続きを進めるための具体的なステップを、分かりやすく解説します。

目次

【最重要】住宅ローンは使える?まず確認すべき最初のハードル

当事者間でマンションの売買を進めるにあたり、真っ先に確認しなければならないのが「買主が住宅ローンを利用するかどうか」です。

注意!個人間の直接取引では、多くの銀行で住宅ローンが組めません

多くの金融機関(銀行など)では、不動産仲介会社が間に入り、プロの宅地建物取引士が作成した「重要事項説明書」や「売買契約書」が提出されない限り、住宅ローンの融資を行っていません。

親族間売買に特化した一部のローンを扱っている金融機関もありますが、一般的な個人間売買では断られてしまうケースがほとんどです。

また、仮に住宅ローンが利用できたとしても、以下のような手続きをすべてご自身(または相手方)で進める必要があります。

  • 本人確認書類や収入証明書の準備
  • 物件に関する資料の提出
  • 銀行との細かな交渉や審査対応

もし買主様が住宅ローンを利用されるのであれば、安全のためにも最初から仲介会社へ依頼するか、書面作成の専門家に相談することを強くおすすめします。

個人売買と仲介会社経由の違い

「直接取引」と「不動産会社(仲介)を通す取引」で、何がどう変わるのかを一覧表にまとめました。

スクロールできます
比較項目個人間の直接取引不動産仲介会社を通す場合
仲介手数料0円(かからない)法定上限(売買価格の3%+6万円+税など)
住宅ローンの利用非常に難しい(制限が多い)スムーズに利用可能
重要事項説明なし(買主にリスクあり)あり(プロによる物件調査・説明)
契約書の作成自分たちで手配・作成が必要不動産会社がすべて作成
万が一のトラブル自己責任(当事者間で解決)仲介会社が仲裁に入ってくれる

直接取引の最大のメリットは「仲介手数料がかからないこと」ですが、その分「すべてのリスクを自分たちで背負う」というデメリットがあることを知っておく必要があります。

知人・親族間でのマンション直接売買 5つのステップ

もし「現金で一括購入する」「ローンは使わない」という場合で、直接取引を進める際の具体的な流れは以下の通りです。

STEP
売買条件の決定

まずは価格、引き渡しの時期などについて、お互いにしっかりと話し合って決めます。親族間の場合、相場より安すぎると「贈与税」がかかるケースがあるため注意が必要です。

STEP
売買契約書の作成

言った・言わないのトラブルを防ぐため、必ず「売買契約書」を書面で作成します。インターネットの雛形をそのまま使うのは危険です。万が一途中で解約をする場合のペナルティについては必ず取り決めをしておきましょう。

STEP
登記手続き(名義変更)

代金の支払いと同時に、マンションの名義を売主から買主へ変更する「所有権移転登記」を行います。書類に不備があると法務局に受理されないため、この部分は司法書士などの専門家に依頼するのが確実です。

STEP
マンション管理会社への届出

マンションの場合、所有者が変わったことを「管理組合」や「管理会社」へ届け出る必要があります。これを怠ると、前の所有者に管理費の請求がいってしまったり、新しい所有者に連絡が届かなくなったりします。

STEP
税金の申告・納税

引き渡し後、売主には「譲渡所得税」、買主には「不動産取得税」の税金が発生する場合があります。翌年の確定申告を含め、税務署への確認・手続きを忘れずに行いましょう。

個人間取引で見落としがちな「重要事項説明」の壁

不動産会社を通してマンションを買うとき、必ず宅地建物取引士から「重要事項説明(重説)」を受けます。これは、建物の構造や、修繕積立金の貯まり具合、過去に雨漏りや事件事故がなかったかなどをプロが細かく調べて報告してくれるものです。

しかし、個人間の直接取引では「重要事項説明書」は作成されません。

ここが危ない!直接取引の隠れたリスク
  • 修繕積立金の大幅な値上げ予定を知らなかった
  • 過去に大規模な雨漏りがあったことを後から知った
  • 管理費が数ヶ月分滞納されており、買主が引き継ぐことになってしまった

こうした建物や管理に関するマイナス情報は、いくら親しい知人や親族であっても、売主自身が把握していなかったり、言い出しにくくて隠されてしまったりすることがあります。

購入後にこれらが発覚すると、せっかく浮かせた仲介手数料以上の大出費になりかねません。

不安を解消!マンション個人売買のよくある質問(Q&A)

親族間だから、売買契約書を作らずに名義変更(登記)だけしても大丈夫ですか?

絶対に避けてください。 書面(契約書)を残さずにお金と名義だけを動かすと、税務署から「売買ではなく、時価で譲渡(贈与)された」とみなされ、高額な贈与税を課されるリスクが高まります。また、後々のトラブルを防ぐ防衛策としても契約書は必須です。

不動産会社を通さない場合、契約書の作成や手続きは誰に頼めばいいですか?

行政書士や司法書士などの専門家(セカンドオピニオン)へご相談ください。 不動産会社のような高い仲介手数料を払わずに、売買契約書の作成だけをスポットで行政書士に依頼したり、登記手続きを司法書士に依頼したりすることで、コストを抑えつつ安全な取引が可能になります。

知人から相場より大幅に安く譲ってもらえると言われたのですが、問題ありますか?

「みなし贈与」として増税になる可能性があります。 市場価格(相場)よりも著しく低い価格で売買を行うと、相場との差額分を「プレゼント(贈与)された」と判断され、買主に贈与税がかかることがあります。適正な価格設定については、事前に専門家への確認が必要です。

結びに:トラブルのない安心な取引のために

知人や親族からのマンション購入は、お互いの信頼関係があるからこそ成り立つ素晴らしい機会です。仲介手数料を抑えられるメリットも非常に魅力的です。

しかし、不動産取引には複雑な法律や税金、そしてマンション特有の維持管理のルールが絡み合っています。「身内だから大丈夫」「知人だから信用できる」という油断が、のちに修復不可能な関係の悪化を招いてしまうケースを、私はこれまで何度も見てきました。

取引のタイムリミット(期限)にご注意ください

不動産の個人間売買は、一度手続きを間違えて名義変更やお金の支払いを完了してしまうと、後から「税金の取り消し」や「契約のやり直し」をすることは原則できません。「売買の話が本格化する前」「契約書に判を押す前」の今こそが、リスクを回避できる唯一のタイミングです。

当事務所では、不動産会社に頼まない個人間売買において、「仲介手数料を抑えつつ、トラブルのない安全な契約書を作成したい」という方のために、行政書士・FPの視点から契約書の作成や手続きのサポート(セカンドオピニオン)を行っております。

「何から手をつければいいか分からない」「この内容で進めて大丈夫?」と少しでも不安に思われたら、手遅れになって後悔する前に、まずは一度お気軽にご相談ください。あなたの安心な住まい選びと、大切な人間関係を守るお手伝いをいたします。

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