行政書士相澤和久事務所
行政書士の仕事の中には、遺産分割協議書の作成や遺産の分配(預貯金の解約等)のような迅速に正確な結果を提供すべきものがあります。

これらの業務は依頼者にとっては不慣れであることや法律の枠組みの理解も浅いことなどもあって、行政書士が主導してグイグイ進めなければならないことも少なくありません。

それに慣れてしまうと、性質の違う業務においても主導役という立場で依頼者と接してしまい、結果トラブルになってしまいます。

私の職業人生において、行政書士業務の経験はマイナーです。

サラリーマンとしての出発は不動産仲介の営業マン、その後は保険代理店に転職をして営業・事務など様々な業務を経験しました。

また、現在は行政書士業務以外にもファイナンシャルプランナーとして一般消費者からのお金の相談を受けています。

このような相談業務のときのスタンスは、正しい結論を素早く提供する専門家、ではありません。

遠回りでも、お客様と一緒に手を動かしたり考えたりしながら、納得してもらえる決断ができる手助けをするアドバイザーという気持ちです。

専門家=(高い)専門性が武器
というのは専門家の勘違い、と言われています。

お客様からみれば、専門家は専門性があるのは当たり前で、どのくらい専門性が高いかどうか判断はできません。

それであれば、専門性以外の部分に強みを見出してアピールしていくことになります。

士業がただ正確な結果を提供するだけでなく、進行役としてお客様と共にプロセスを進めることができるのは強みになるはずです。
より深い信頼関係が築け、満足度も向上します(しているはずです)。

お客様自身が状況や選択肢を理解し、自分の意思で最良の決断ができるよう、プロフェッショナルが伴走するというスタイルは、士業に対する堅苦しいイメージを柔らげるメリットもあります。

特に相続や遺言といった分野では、法律だけでなく、依頼者の価値観や家族間の感情的な要素が重要になることが多いと感じています。
これこそまさに一緒に作り上げていく進行役としてのスタイルが必要な業務分野ではないでしょうか。

専門性が足りないから、という理由で業務の受注を躊躇したり、独立をためらうことはありません。
顧客とのコミュニケーション力があれば、十分強いのです。

開業を考えている方、開業間もない方の参考になれば幸いです。