終活

行政書士・ファイナンシャルプランナーの相澤和久です。

「終活」と聞いて、「まだ早いかな」「元気なうちは必要ないかも」と思われる方も少なくないかもしれません。
でも、老後やその先に感じる“なんとなくの不安”は、放っておいても消えていくものではありません。

特に、50代・60代で長年働いてきた単身女性にとっては、仕事の一区切りが見えてくる今こそ、「これからの暮らしを整える準備」を始めるタイミングでもあります。

このコラムでは、行政書士・ファイナンシャルプランナーとして日々ご相談を受けている視点から、「老後のお金」や「亡くなったあとの心配ごと」について、実務的な観点も交えてやさしく解説します。

“モヤモヤ”の正体は何?老後に抱く3つの不安

定年後の暮らしに不安を抱えている人は多くいます。でもその中身は人によってさまざま。
多くのご相談者から聞かれる不安は、大きく分けて次の3つです。

不安①:老後のお金が足りるか心配

年金だけで生活できるのか、病気や介護にかかったらどうしよう…という漠然としたお金の不安。

たとえば老後の生活費については、総務省の家計調査や年金支給額の平均を参考にしつつ、ご自身の支出傾向に合わせてキャッシュフロー表を作成するのがおすすめです。

ファイナンシャルプランナーとしての経験上、平均的な支出ではなく「自分の生活をベースにした数字」で老後資金を考えることで、将来への不安がぐっと減ります。

住宅ローンの有無、医療・介護への備え、趣味・旅行の支出計画なども含めて一度見直してみましょう。

不安②:一人暮らしで何かあったらどうなる?

自宅で倒れても誰も気づかない、病気になったときに頼れる人がいない…そんな「万一のとき」の不安。

単身の方ほど、「自分の代わりに意思決定してくれる人をどう確保するか」が大きな課題になります。
家族がいない方でも、任意後見契約や見守り契約を使って、信頼できる第三者に備えておくことが可能です。

元気なうちに「もしものとき、誰に、何をお願いしておくか」を考えておくことが、心の安心につながります。

不安③:亡くなった後のことが気になる

自分が亡くなったあと、葬儀やお墓、自宅マンションの処分は誰がやってくれるのか?という「死後の手続き」の不安。

こうした死後の事務(葬儀、役所手続き、公共料金の解約、賃貸マンションの原状回復など)は、元気なうちに委任契約を結んでおくことができます。

行政書士としてご相談をお受けする中でも、「死後事務委任契約」を活用しておくことで、信頼できる第三者に事務手続きの一切を任せることができ、遺された人への負担を軽減できた事例が多くあります。

特におひとりさまの場合、「誰にお願いするか」「マンションの処分はどうするか」など、早めの準備が安心への近道です。

“終活”はネガティブなものではありません

「終活」という言葉が“死を意識するもの”として敬遠されがちなことは事実です。

でも本来の終活は、「今の暮らしをよりよく整え、これからを安心して生きるための準備」です。

たとえば、以下のようなことも立派な終活の一部です。
  • 預貯金の整理や、保険の見直し
  • 自宅の権利関係や名義の確認
  • 写真・アルバム・日記などのデジタル整理
  • 元気なうちにやりたいことリスト(バケットリスト)の作成
「今」を大切にする人ほど、「その先」を考えることに意味があります。

“終活”を進める3ステップ

では、実際に終活を始めるにはどうすればいいのでしょうか。気負わず取り組める3ステップをご紹介します。

ステップ① 自分の「不安メモ」を書き出す

漠然とした不安の正体を言葉にするだけでも、気持ちが軽くなります。
例えば「病気になったら」「認知症になったら」「マンションはどうするのか」など、思いついた順に書き出してみましょう。

ステップ② 優先順位をつけて、できることから着手

全部を一度にやろうとせず、「いちばん気になっていること」から小さく始めてみましょう。
たとえば「遺言を書いておきたい」「老後のお金の見通しを立てたい」など、一歩踏み出すことで安心感が大きくなります。

ステップ③ 専門家と一緒に“見える化”する

自分だけでは不安や情報の整理が難しいと感じたら、行政書士やファイナンシャルプランナーといった専門家に相談するのも一つの方法です。

おひとりおひとりの状況に応じて、必要な準備や書類、対策を一緒に整理していくことで、不安を“見える化”できます。

まずは「誰に相談できるか」を決めておこう

終活は「ひとりで完結させるもの」ではありません。
信頼できる相談相手をつくることで、「この先、何かあっても大丈夫」という安心につながります。

そのために、私たちのような行政書士・ファイナンシャルプランナーの“二刀流”専門家がいます。
制度のこと、お金のこと、マンションのことなど、どこから相談すればよいかわからない…という方でも大丈夫です。

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「まだ元気だからこそ、備えられることがある」
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