修繕積立金不足が不安な方へ|購入前にチェックすべきポイント
ここ最近、新聞やニュースで「マンションの修繕積立金が不足している」という話題が取り上げられました。

資金が足りず、大規模修繕を実施するために修繕積立金を3倍近く値上げしなければならないケースもあるとのことです。
しかし、急激な値上げには住民の合意が得られにくく、積立金不足のマンションは資産価値の低下リスクを抱えています。

中古マンションの購入を検討している方のほとんどが、修繕履歴・長期修繕計画・現在の積立金残高を気にしています。
しかし、これらの資料を見ても、将来にわたって修繕工事が適切に行われるかどうかを判断するのは難しいものです。

そこで本記事では、私が実際にどのような資料やデータを基にアドバイスしているのかをご紹介します。

まずはマンション全体の会計資料を確認

最初にチェックすべきは、マンション全体の会計状況です。

マンションの財務は一般的に「管理費会計」「修繕積立金会計」の2つに分かれています。
この2つの会計(口座)の出入りや貯蓄ペースを確認することで、健全な運営がなされているかを判断できます。

また、管理費会計には、区分所有者が支払う管理費以外の収入(例:駐車場収入・広告看板収入・携帯基地局のアンテナ収入)が計上されることがあります。
その場合、管理費会計で一定額が貯まると、まとめて修繕積立金会計に振り替えられる運用が行われていることが多いです。

「毎月の修繕積立金が相場よりも安すぎる」と感じるマンションでは、このような会計の流れをチェックすることが重要です。

国土交通省の修繕積立金ガイドラインでは「㎡あたり〇〇円/月が目安」とされていますが、それにとらわれすぎず、会計資料の中身を確認しながらアドバイスをすることが大切です。

「マンションライフサイクルシミュレーション」を活用

住宅金融支援機構が提供する「マンションライフサイクルシミュレーション」というツールをご存じでしょうか?

もともとは管理組合向けに作られたもので、現在の修繕積立金の水準が将来も適正かどうかをシミュレーションできるツールです。

このシミュレーションでは、過去の修繕工事費データを基に、今後の修繕工事に必要な財源が十分かどうかを確認できます。
不足する場合には、「いくら積立金を値上げすれば良いか」という具体的な数値も示されるため、購入前の判断材料として有効です。

例えば、現在の修繕積立金が20,000円/月で、10年後には35,000円/月にしなければ修繕工事が実施できないとシミュレーションで分かれば、購入者としてもより現実的な判断ができます。

購入前に修繕積立金の健全性をチェックしよう

  • マンション全体の会計資料を確認することが重要
  • 管理費会計・修繕積立金会計の流れをチェックする
  • 「マンションライフサイクルシミュレーション」で将来の資金不足リスクを把握する
公的機関が提供するツールやデータは信頼性が高く、説得力のある判断材料となります。
私も日々最新の情報をチェックし、有用なツールは積極的に活用しています。

中古マンションの購入を検討されている方は、ぜひ修繕積立金の状況をしっかり確認して、将来的なコストを見極めるようにしましょう。