住宅ローンを利用する際、多くの方が団体信用生命保険(団信)に加入します。
団信とは、ローン契約者が死亡または高度障害状態になった際に、住宅ローンの残債が保険金で相殺される仕組みの生命保険です。
特筆すべきメリットは、保険料を住宅ローン契約者が負担する必要がないこと。
金融機関が負担するため、ローンを組むと「無料で生命保険が付いてくる」と感じる方も多いでしょう。
では、団信に加入すれば、従来の生命保険は不要なのでしょうか?
団信では生命保険の代わりにならない理由
結論から言うと、団信に加入していても生命保険が不要になるとは限りません。その理由を詳しく解説します。
団信では「お金」は残らない
団信の目的は「住宅ローンの完済」であり、遺族に現金を残すことではありません。
つまり、団信によって住宅ローンの負担はなくなりますが、生活費や教育資金などの支出には対応できません。
一方、生命保険は死亡保険金としてまとまったお金を遺族に残せるため、日々の生活や将来の学費の確保に役立ちます。
住宅売却には時間と労力がかかる
「住宅ローンがなくなるなら、家を売れば現金を確保できるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、家の売却には以下のようなハードルがあります。
遺産分割協議が必要
亡くなった親名義の不動産を相続するには、相続人間で遺産分割協議を行い、協議書を作成する必要があります。
未成年の子供がいる場合は特別代理人の選任が必要
親が未成年の子の代理として不動産の相続手続きを進めると「利益相反」に該当する可能性があります。
そのため、家庭裁判所に申し立てを行い、特別代理人を選任する必要があります。
売却には時間がかかる
不動産の売却はすぐに成立するとは限らず、買い手が見つかるまで数カ月〜1年以上かかることもあります。
その間の生活資金が不足すると困る可能性があります。
生命保険ならすぐに現金を受け取れる
生命保険の保険金は、手続きが完了すれば比較的早く支払われます。
受取人である配偶者が申請を行えば、1カ月以内に保険金を受け取ることができるケースが一般的です。
一方、不動産の売却には時間がかかるため、すぐにまとまったお金を用意したい場合には生命保険の方が圧倒的に有利です。
住宅ローンを組んでも生命保険の見直しは慎重に
住宅ローンを組む際、団信に加入することで生命保険の保障額を減らすべきか悩む方も多いでしょう。
確かに、理論上は住宅ローンの残高分だけ生命保険を減額するのも一つの考え方です。
しかし、
・住宅ローンがなくなったからといって、生活費や教育費の問題が解決するわけではない
・不動産売却には時間と労力がかかる
・生命保険なら確実に現金を受け取れる
という点を考慮すると、安易に生命保険を解約するのはリスクが高いといえます。
特に小さなお子さんがいる家庭では、「住み慣れた家で今後も生活を続けること」が重要です。
そのためには、十分な保障を備えておくことが安心につながります。
まとめ
・団信は住宅ローンを完済するための保険であり、遺族に現金を残すものではない
・不動産売却には時間と労力がかかり、すぐに現金を手にできるわけではない
・生命保険は遺族の生活費・教育費を確保するために必要
団信に加入しているからといって、生命保険が不要とは限りません。
住宅ローンを組んだ際には、家計全体のリスク管理を見直し、必要な生命保険の保障額を慎重に検討することをおすすめします。