

横浜市では火災による被害が特に大きいと想定される地域において、古い建物を解体する場合、工事費の一部に補助金が出ます。
ただし、地域が限定されていることや、建築物の経過年数など一定の要件が決められているため、どんなときでも補助金がもらえるわけではありません。
今回は、補助金をもらえる要件の確認方法について、行政書士の経験をもとにご説明します。
「もらえると思っていたのに…」と後悔しないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。
補助金をもらえるための主な要件は3つ
細かくみると多くの要件が決められていますが、実質的な要件は3つです。
3つ全てに該当していることが補助金を受け取る条件になりますのでご注意ください。
・建物の場所が「対象エリア」に該当すること
・建物の「耐用年数」が過ぎていること
・申請者が「個人等」であること
つぎに1つ1つ具体的な要件と確認方法を説明します。
該当エリアと確認方法
浜市のリーフレット内に該当エリアが地図で記載されています。
大まかな確認は地図で十分ですが、地図では位置が分かりづらい場合には「i-マッピー」で確認しましょう。
iマッピーとは横浜市行政地図情報提供システム(https://wwwm.city.yokohama.lg.jp/yokohama/Portal)のことで、インターネットから誰でも無料で使えます。
以下で確認手順をご紹介します。
①少し下にいくつかの地図検索があります。その中のiマッピーをクリックしましょう。
②住所で検索できます。例えば「横浜市中区本郷町」と入れて検索します。
③調べたい住所が本郷三丁目だとして、該当する住所をクリックします。
④地図表示に切り替わります。調べたい建物の場所をクリックします。
⑤クリックすると左端の表示が変わります。詳細情報の表示になります。
この中で、「不燃化推進地域」という項目が表示されていれば、補助金のエリアに該当します。非該当の場合には、不燃化推進地域という項目が表示されません。
まずはリーフレットで確認、判断が難しい場合にはiマッピーを使ってエリア確認を行います。
建物の耐用年数と確認方法
要件は木造22年、鉄骨造34年を経過していることです。
そのためには建物の建築年月を証明しなければなりません。
具体的には法務局で「家屋全部事項証明書」を取得することで確認ができます。
原因及びその日付、と記載のある個所を確認しましょう。
和暦で建築年月日が記載されています。年月日の後が「新築」となっていることを確認します。
申請者が個人等であることについて
要件は「申請者が個人・中小企業・町内会」であること、となっています。宅建業者は不可です。
要件は単純ですが、申請上必要となる書類に注意が必要です。
申請者以外に土地・建物の所有者がいる場合には「関係権利者承諾書」が必要になります。
自分の建物を自分が壊す場合には問題になりませんが、関係者が多い場合や相続が発生している場合には特に気を付けなければなりません。最悪の場合、関係権利者承諾書が揃えられず補助金がもらえないこともあります。
分かりづらい箇所なので具体的な場面を想定して解説します。
①建物を共有している場合(自分と母)、関係権利者承諾書に母の署名が必要になります。
身内の方なので事情を説明すれば署名をもらうのは簡単でしょう。
②土地を借りている場合、つまり借地権の上の建物を取り壊す場合、関係権利者承諾書に土地所有者(地主)の署名が必要です。
土地所有者は他人ですので、事情を説明しても確実に署名をもらえるとは言い切れません。
③上記2つのケースで、母や土地所有者に相続が発生している場合、相続人全員から関係権利者承諾書に署名をもらわなければなりません。
また、相続人であることを証明するためには戸籍謄本等の原本の提出が必要です。
①のケースで母が死亡しており、自分と兄が相続人であるとすると、母の相続人を証明する書類(戸籍)と関係権利者承諾書に兄の署名が必要です。
もし遺産分割の際に兄と仲違いしてしまった、となると関係権利者承諾書に署名をもらうのは難しいかもしれません。
②のケースで土地所有者が死亡している場合はさらに困難です。
関係権利者承諾書相続人全員から署名をもらうことと、死亡した土地所有者の相続人を証明する書類も相続人の方にお願いして取得してもらわなければなりません。
それらを持って申請するのは相続人から見れば赤の他人のあなたになるのですから、他人に大切な戸籍を預けることや、労力がかかる戸籍収集を引き受けてもらうことは難しいと言えます。
申請代行を行った経験から、補助金のための提出書類を揃えること、ということまでを考えると、申請者要件の確認に最も気を使います。
①のように申請者以外の第三者が身内の方であればいいのですが、他人が関わるときは特に注意が必要です。
まとめ
3つの要件と確認方法を解説しましたが、自分自身でも簡単にできそうだ、と思われた方も多いと思います。
自分自身または身内の方しか関係者が登場しない場合は自分自身でも手続きは完結できると思います。
一方、第三者の方の承諾が必要な際には専門家へ依頼することをおすすめします。