どうするの?借地権を相続したあとの活用方法

人生の中で、家を借りる人は大勢います。しかし、土地を借りる人は少ないですよね。駐車場として近隣に月極駐車場を借りることはあれど、建物を建てるために土地を借りるケースはほとんどないと言えるのではないでしょうか。

借地権とは、建物を建てるために土地を借りる権利のことです。土地を借りて地代を支払う人を借地権者、土地を所有して地代を受け取る人を借地権設定者と言います(借地権が設定された土地の権利を底地権と言います)。

本稿では、私が様々な経験から学んだ借地権、底地権の活用方法についてお伝えしたいと思います。

 

1+1=2  ではない。

 

とても大切なことであり、本質的なことです。これは、借地権と底地権を合わせると所有権になるのですが、時価は足し算にはならない、ということです。

他人に土地を貸している地主(借地権設定者であり底地権者)が借地権を買い戻したとしたら、地代は入らなくなりますが土地を自由に使用することができるようになります。つまり、所有権を持った事になりますね。

では、底地権の時価が500万円で、借地権を1,000万円で買い戻したとして、その後地主が所有権として土地を売却する時にいくらの値がつくと思いますか?単純に合計すると1,500万円ですが、それと同額になるのでしょうか?

 

多くのケースでは、1,500万円以上になります。

 

なぜでしょうか?

 

私が考える理由は下記の通りです。

借地権を売却する場合

  1. 借地権は地代、更新料、譲渡承諾料、増改築承諾料の支払いがあるため将来の支払いが不透明である
  2. 土地権利が借地権の場合は住宅ローン審査が厳しい
  3. 上記の2点によりマーケットに買手が少ない
  4. 買手が少ないため競争が少ない(買手に有利)

そもそも、地代を払い続けても一生土地が自分の物にならない、という借地権はそれだけで嫌われています。

(所有権でも固定資産税の支払いは一生続くのですが・・・借地権は借り物なので固定資産税はかかりません)

それに加えて住宅ローンが使えないケースも多々あります。銀行指定の書類に、地主の実印+印鑑証明書が必要だと言われ、地主としてはそんなものに印鑑は押せないと言われるケースが代表例です。また、土地が分筆されていないためダメなケース、地主が法人だからダメなケース、そもそも土地に抵当権が設定できないとダメなケース(地主が承諾するはずがありません)など、金融機関によって取扱は様々ですが、所有権に比べて圧倒的に厳しいです。

一般の方からすると、よく分からない権利である借地権は買手が少なく、価格も安くなって当然かもしれません。

 

底地権を売却する場合

  1. 地代をもらえるだけで、自分で家を建てられない。投資用資産としての視点が必要になる
  2. 底地の購入には住宅ローンが使えない
  3. 上記2点によりマーケットに買手が少ない
  4. 買手が少ないため競争が少ない(買手に有利)

ところで、みなさんは底地権が売っているのを見たことがありますか?

投資用不動産としてみても、区分マンション、ビル、店舗に比べて魅力が薄いのが底地権です。そのため、一般消費者に売り込むために広告をするようなことはまずありません。私の経験では、底地権を買う方はすでに多くの土地を持っている地主の方でした。地代収入が目的ではなく、いつか(子、孫の代になって)借地権が買い戻せればいいかな、といった感覚です。

 

借地権、底地権それぞれ単独では人気がないのですが、力を合わせることで持っている実力以上の力が発揮されるのです。それであれば、借地権を持っている(相続した)人が取るべき方法は簡単ですね。

 

 

 

 

底地権を買い取る

その土地を利用するかどうかに関わらず、買うこと。買ったあと、所有権として売却すればいいのです。

しかし、さきほど説明した通り、底地権を買うには住宅ローンは使えません。自己資金または投資用ローンでお金を準備しなければならないため、底地権の価格によっては難しい場合もあります。それに、底地権者としてもなるべく高く売りたいという気持ちがあるため、すんなり売却に応じてもらえることはありません。そこで、現実的には次のような方法が取られます。

 

 

 

 

一緒に売却する

借地権者と底地権者が協力して、一緒に同じ相手に権利を売却するのです。買手は所有権として購入できるので、一般の物件と同等の評価となります。第3者が入って同時売却の提案をすると、多くの方は賛同していただけます。どちらか一方だけトクをするわけではなく、Win-Winの方法であることを理屈を持って説明できるからだと思われます。この方法を取るうえで最も難しいのは、借地権者・底地権者の取り分をどのようにするのか決めることです。路線価の借地権割合を参考にするのか、それぞれ単独売却をすると仮定して算出した時価割合とするのか、決められたものはないため話し合いとなります。話の中で過去の経緯(更新料、周辺と比較した地代など)が出てくると、なかなか決まりません。最終的には地主に配慮して借地権者が譲歩してまとまるようです。それでも単独売却よりメリットがあるのですから、ソンな話ではありません。

 

 

借地権だからこの価格でも仕方ないか・・・(よくわからないし)

地代を払わなければならないから早急に手放そう・・・(お金がもったいない)

 

 

借地権も大切な財産です。適切な方法で売却することにより思った以上の評価が付くことがあります。

借地権・底地権に関するご相談お待ちしております。

 

まとめ

同時売却によりWin-Winを目指す